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吉本隆明(の詩)と中村天風(の詩)に共通性があるという異様な(内的)発見

<こころは限りなく乾くことを願ってゐた それで街へ下りると 極度に高く退いた空の相から わたしの撰んだ季節がまさしく秋であることを知ったのだ
 風の感覚と 建物たちに差し込む光と それが構成してゐる影が いちやうに冷たく乾き切ってゐることでわたしは充たされてしまった

 さてわたしはどんな物象に また変化のあるこころに出遭へたといふのだ わたしのこのうへなく愛したものは風景の視線ではなく 風景を間接的にさへしてしまふ乾いた感覚だったのだから 果てしなくゆく路の上で 矢張り 風と光と影を知っただけだ>
…「風と光と影の歌」冒頭、1950年(秋)の作詩…
(吉本隆明『吉本隆明詩集』現代詩文庫8、思潮社、1968.より)

 <「甦えりの誦句」(補:本来は、「甦へりの誦句」)
 吾は今 力と勇気と信念とを以て甦へり、新しき元気を以て、正しい人間としての本領の発揮と、その本分の実践に向はんとするのである。
 吾は又 吾が日々の仕事に、溢るる熱誠を以て赴く。
 吾は又 欣びと感謝に満たされて進み行かん。
 一切の希望 一切の目的は、厳粛に正しいものを以て標準として定めよう。
 そして 恒に明るく朗らかに統一道を実践し、ひたむきに 人の世のために役立つ自己を完成することに 努力しよう。>
…もとになった「朝旦偈辞」は1960年(秋)の作詩…
(中村天風『力の結晶』PHP研究所、2020.より)

☆吉本隆明(の詩)と中村天風(の詩)に共通性があるという異様な(内的)発見
一.「新かな当用漢字」の使用が閣議決定された(1946年11月)後の時点においても、「舊かな舊漢字」で「口語詩・現代詩」をつくってゐる
二.詩作と、物理學の量子論が何かしら関係して、結びついてゐる
三.吉本隆明の表出言語論には「言葉は内臓の反映」という言及があり、中村天風の「心身統一道の実践」による健康法と、不思議とどこか似てゐる
→その不思議な共通性のなかに<ヤポネシアの人間典型>があるのではないか

<舊かな舊漢字、口語詩・現代詩、つくってゐる
 詩作と、物理學の量子論、結びついてゐる
 言葉と内臓、心と身体(からだ)、不思議に似てゐる
 その、不思議のなかに、あるヤポネシア人がゐる
 その、不思議のなかに、ゐるヤポネシア人がゐる>

「風と光と影」(今回引用した詩に併せて撰んだデス・ストランディングの写眞)
「風と光と影」(今回引用した詩に併せて撰んだデス・ストランディングの写眞)
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