MENU

隻狼とニーアを交互に周回プレイ(S)

以下は、
私が2019年にAmazonに書いた、ゲーム作品『隻狼 SEKIRO』のレビューです。
~~~

今年のGW、大阪で6年前まで住んでいた場所を改めて訪れ、ニーアオートマタとデビルメイクライ5を購入するため最寄りのゲーム販売店に行きました。ニーアオートマタは梅田で、デビルメイクライ5は北浜~天満橋あたりで、それぞれ創られたゲームだということを知った上でそれを大阪で購入して、購入する行為自体から作品を楽しもうと思ったからです。

しかし、残念ながらデビルメイクライ5パッケージ版の新品は売り切れで、その他の大阪市内のゲーム販売店でも見つけることができませんでした。中古版はありましたが、メーカーを応援したい思いがあり、デビルメイクライ5プロダクトコード入りPSストアカードは販売されていたので、そちらで代替することにしました。

ニーアオートマタのGame of the YoRHa Editionは販売店に置いてありましたので、こちらは無事に大阪市内の店舗で購入することが出来ました。デビルメイクライ5の代わりに、ニーアと一緒に、隻狼 SHADOWS DIE TWICEパッケージ版を同じ店舗で購入しました。隻狼には興味があり、下拵えとして仁王をクリアして準備してはいました。ただ、デビルメイクライ5を終えてから購入するつもりでしたが、両作とも「主人公が義手」という共通点があるので(左右の違いはありますが)「隻狼でもいいか」という軽い感じで、ニーアとセット購入(?)したのでした。

地元(中國地方)に帰り、ニーアと隻狼を交互にプレイしはじめました。ゲームプレイを中心にとらえた場合のゲームとしては、ニーアは全く面白くなく、隻狼は滅茶苦茶に面白く、とても対照的でした。ただ、1回クリアした時点で、ニーアは周回プレイ前提のゲームだとわかってきましたので、2周目からはほぼオート戦闘にしてストーリーだけを進めてゆきました。逆に、隻狼は戦闘が胆のゲーム。ラスボスに200回以上挑んでやっと1回目をクリアしたところで、取得率が約9%の全スキル習得のトロフィーを獲得していることに気づき、トロコン割合が約8%だったのでトロコンを目指す気持ちになり、2周目以降に突入してゆきました。(隻狼→ニーア→隻狼→ニーア→隻狼…。とやっているうちに、隻狼の仏師が我王を連想させることも相まって、これって手塚治虫『火の鳥』みたいだな…。と、思いました。…そして最終的に、何とかトロコンを達成しました!攻略動画をアップしてくれた先輩プレイヤーに、感謝。)

ニーアと隻狼を交互に周回プレイしていて、全く関係ない2つのゲームにいくつかの共通点があることに気づきました。
①プレイヤーが試行錯誤しながら何度も繰り返しプレイするための「ゲームキャラの軽い死」について、ストーリーの中で一定の意味付けを行っている。両作とも「呪い」に近い扱い=大人になってゲームをすることへの自覚的な問いかけを内包している。
②エンディングが4~5種類あり、①の問いかけへの様々な回答となっている。作品自身(ひいてはゲーム一般)を過度に肯定するのでもなく、過度に否定するのでもない結末が、トゥルーエンドとなっている。
③最終的に、ゲーム外でのプレイヤー自身の思考・行為の自覚を促すことを含めて作品制作がなされている。プレイヤーがゲーム内から実生活に持ち帰ることのできる(あるいはもともとゲーム内外に通底しているが改めて意識する)、普遍的な在り方・美意識(道Do:)の象徴として<日本刀>が登場する。

☆黄泉返る剣聖—宮本武蔵
大阪からの帰宅途中、高速道路を岡山県津山市で降りて一服したところ、思いがけず小さな城を見つけました。天守閣はありませんでしたが、石垣と櫓があり、散策して帰りました。高速道路の壁面に二刀流の侍の絵が描いてあったりして、近くに宮本武蔵の出生地があることも分かりました。
『隻狼 SEKIRO』をやり込むにつれて、自分の中で「これって、現代的解釈の<宮本武蔵>なのではないか?」という思いが強くなってきて、1ヶ月後くらいに改めて「宮本武蔵出生地」(諸説あり)にも行ってみたりしました。つまり、「狭い枠内での鍛錬や習熟による強さ」よりも「枠を取っ払って可能な限り使える要素を総動員した強(したた)かさ」を重視する物事への取り組み方を、遠回しに推奨・肯定するような作品内容になっていると感じたのでした(「強さ」<「強かさ」)。有名な巌流島の決闘のエピソードで「佐々木小次郎<宮本武蔵」に仮託されて語られている内容が、この『隻狼』では様々なルート攻略やボス攻略において自分が実際にプレイするなかで自然と腑に落ちるようにゲームが創作あるいは設計されていると思います。

<若干ネタバレあり(嫌な人は読まないようにして下さい)>
高速で2連撃を仕掛けてくる居合の達人佐瀬甚助。上手く弾きで倒すこともできるみたいですが、槍系の義手忍具を使うとノーダメージ完封であっさり倒すことが出来ます。これは、まさに相手の高速剣撃(燕返し)を、特製の長い木刀で撃破した巌流島の決闘そのものです。因みに、ラスボスの第2形態も佐瀬甚助と同じ葦名流居合斬りスタイルで攻撃してくるので、同じように槍系の義手忍具が有効です。蛇の目シラフジは「楔丸と錆び丸の二刀流」で中毒状態にするとスムーズに倒せますし、同じく毒に弱い蛇の目シラハギは毒沼で「まちぼうけ」させて体力が無くなったところでスムーズに倒すことができます(これは攻略動画で教わりました、感謝)。マルチ要素がない代わりというか、自分のような下手なプレイヤーは攻略サイトや攻略動画のお世話にならないとクリアできませんでしたが、これも勝つためなら枠外のものも全て活用する<宮本武蔵的な兵法(道)>だと思います。しかし、いろいろな攻略動画を参考にさせてもらいましたが、特に「義父(過去梟)」「怨嗟の鬼」「ラスボス(剣聖)」などの強敵では、一つの攻略動画で教わった方法を完コピして倒せたことは一度もなく、2~3種類の攻略動画のアイデアを自分なりに混合・統一することで倒せるようになったことがほとんどでした。この経験は、仕事や生活にも活かせるのではないか?と感じています。
―――
最近あまり流行らなくなっていた「宮本武蔵的な求道者像」を、上手く現代化したかたちで黄泉返らせてくれた『隻狼 SEKIRO』は、自分が小さい頃からプレイしてきたゲームの中で<自分にとって現時点でのNo.1作品>となりました。(もちろん、『仁王』を先にクリアしていて「死にゲーの文法」みたいなものを学んでいたのが良かったかもしれません。親切なゲームではないので、「何が面白いの?」という人がいることも分かります。ただ、そもそもゲーム外で攻略法を調べたりすることそのものも、このゲームをプレイする楽しみに入っていると、自分は思っています。)
―――
「お金を稼ぐ」「美味しいものを食べる」という目的を超えて<道(Michi, Do:)>を求めるというところに仕事や生活の行き詰まりを打破する契機をみつけることが出来たり、多くの気付きもありました。また、風景描写がとても美しくて(特に「源の宮」)操作が楽しかったし、玉虫色のハッピーエンドにならない大人向けのストーリーにもゲーム文化の成熟を感じました。いいゲームを、ありがとうございました!

隻狼SEKIRO…不死斬り
隻狼SEKIRO…不死斬り

~~~

(2019GW津山城址にて)
(2019GW津山城址にて)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次